研究概要 |
本研究では,XTi(O-i-Pr)_3(X=O-i-Pr,Cl)と2当量のi-PrMgClより発生する二価チタン等価体(η2-propene)Ti(O-i-Pr)2を利用する合成反応の開発の一つとして,不飽和結合を有するエステル類との反応がTi-不飽和錯体を経由する分子内求核アシル置換反応として進行し環状カルボニル化合物を与えることを見出し,この反応を利用する各種環状カルボニル化合物を合成するものである。平成8年度は,前年度に明らかにした3-および4-アルキニルカーボナ-トよりα-アルキリデン環状ラクトンが,3-および4-アルケニルカーボナ-トよりα-アルキル環状ラクトンが,また4-および5-アルキニルカルボン酸エステルよりα-アルキリデン環状ケトンがそれぞれ収率良く得られたことを基にして,(1)置換基を有する基質,特に多環性の生成物を与えるものへの適用と,(2)キラルなチタン化合物を用いた不斉合成への展開をはかった。その結果,(1)ではクマロン類などの6-6および6-5ビシクロ環の構築に適用でき,また酸素などのヘテロ原子を有する環構築にも有用であることがわかった。(2)については時間の都合もありよい結果は無くさらに現在検討中である。
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