| 研究概要 |
本研究代表者が開発した新規含フッ素ビルディングブロックであるβ,β-ビストリフルオロアセチルビニルエーテル(1)およびβ,β-ビストリフルオロアセチルビニルアミン(2)から可能な限り短いプロセスで高効率的に生物活性の大いに期待できるトリフルオロメチル基を持つピリジン類、ピリミジン類およびジヒドロピラン類等の含フッ素ヘテロ環化合物を合成する新手法を開発する事を目的として本研究を行い、次に示す成果を得た。
市販のビニルエーテル類と過剰量の無水トリフルオロ酢酸との反応により収率良く得られる1とアンモニア水とのO-N交換反応により2を合成し、2と各種の脂肪族および芳香族アルデヒド類との反応を、塩基触媒および窒素源としての役割を果たすアンモニア水の存在下で行い、5-トリフルオロアセチル-4-トリフルオロメチル1, 2-ジヒドロピリミジン類(3)を高収率で合成する事に成功した。この3をDDQにより脱水素し、相当する含フッ素ピリミジン類に変換することにも成功した。
次に、2をアンモニア水の存在下にアルデヒド類に代わってアセトン、イソプロピルメチルケトン、アセトフェノン、シクロペンタノン、シクロヘプタノンの様な鎖状及び環状ケトン類と付加・縮合反応を行わせることによりビニルエーテル類から僅か3ステップで殺菌活性の期待できる2, 2-二置換5-トリフルオロアセチル-4-トリフルオロメチル-1, 2-ヒドロピリミジン類や6-置換3-トリフルオロアセチル-2-(または4-)トリフルオロメチルピリジン類を合成するプロセスを確立する事に成功した。
更に、2とイソプロペニルメチルエーテルとのヘテロDiels-Alder反応による、高度に官能基化された含フッ素ジヒドロピラン類の合成にも成功した。
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