研究概要 |
1.カリックスレソルシナレンへのキラリティーの導入 カリックスレソルシナレンの8個の水酸基の内1個だけをベンジルエーテルに変換した化合物を多数合成した.いずれもNMRスペクトルにより,キラルであることを確認した.これらの化合物は,第4級アンモニウムイオンをゲスト分子として包接するホスト分子として機能することを見いだした.この錯体形成反応では,高いエナンチオマー選択性が発現した.キラルなカリックスレソルシナレンが光学分割できれば,トリメチルアンモニウム基を有する生化学的に重要なカルニチンなどを対象とする化学センサーになりうることを見いだした. 2.環サイズの異なるカリックスレソルシナレンの合成 2-アルキルレソルシノール類の反応で,エチラールを縮合剤とすると,環状の4量体,5量体,および6量体の混合物が主生成物となった.反応時間とともに異性化し,最終的には4量体のみになることを見いだした.この混合物中から環状5量体を単離する手法を確立した.環状5量体の構造をもつ分子は,これまで合成が困難であった化合物であり,超分子構築材料として有用性が高いと期待されるものである.
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