研究概要 |
カリックス[4]レソルシナレンへの分子周辺部に位置する8個の水酸基のうち1個だけを化学修飾すると,分子不斉を持つカリックスレソルシナレンとなる.モノベンジルエーテルを合成しNMRにより,分子がキラルであることを確認した.また,トリメチルアンモニウム基を有する分子をゲストとする錯体を形成し,ゲスト分子のキラリティーを認識できることを見いだした. カリックス[4]レソルシナレンの向かい合った位置にある2つの芳香環に臭素原子を導入したジブロモ体を容易に得る方法を見いだした.この化合物は,さらに高度な機能性分子への出発物質としてきわめて有用である. 芳香環の2つの水酸基の間の位置へ,チオメチル基を導入する方法を見いだした.この合成法で,深い疎水性キャビティーを持つ大環状化合物を合成した. 2-アルキルレソルシノール類とホルムアルデヒドとの酸触媒縮合反応を詳細に検討し,これまで知られていた4量体以外に,5量体,6量体も同時に生成し,これらは反応の経過とともに環状4量体に異性化することを見いだした.さらに,環状5量体,6量体を単離生成し,コンホメーションに関する性質や錯体形成について検討した. これらの新規に合成した大環状化合物は,いずれも,超分子構築材料としての有用性が高いものであり,今後の研究において高度な機能性材料を開発する上で利用価値が高いものと期待される.
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