(1)ハロオキシムエーテルのラジカル環化反応 ビタミンB_<12>のモデル錯体であるコバロキシムと反応性電極である亜鉛から構成される電子伝達系を用いて、ブロモオキシムエーテルのラジカル環化を検討した。非分離セル中、MeOH-Et_4NOTs-(Zn)-(Zn)系で、触媒量のコバロキシムの存在下、3Vの定電圧下電解でアミノアルコール体を収率よく得た。反応性電極として亜鉛が優れており、コバロキシムは5-25mol%に軽減できた。第一〜第三級プロミドから生成する炭素ラジカルが反応した結果に基づく環化体をそれぞれ得た。生成物の立体化学はオキシムの構造に影響されないこと、炭素環の構築にも適用できることを見出した。 (2)ラジカルの環化一カップリング連続反応 低原子価コバルト錯体を用いてブロモアセタールとアルデヒドの分子間カップリングを行った。ハライドからラジカル中間体が発生し、環化してビニルラジカルに変わり、このものがアルデヒドからのケチルラジカルとカップリングすることを見出した。 (3)アルケニル-およびアルキル-コバルト錯体の合成と反応 Grignard反応剤の付加反応およびコバルトヒドリドの付加反応を利用してアルケニル-およびアルキル-コバルド錯体を合成し、電子環状反応を行った。しかし、ビニルコバロキシムのIRおよびNMR分析から炭素一炭素二重結合はコバルト原子と共役して、反応性に乏しく、通常の条件では13-双極子付加反応等が進行しない。そこで、電子吸引基の置換したアルケニルコバルト錯体の合成も行った。また、エステル基の置換したアルキル-コバルト錯体もコバルト原子と強く共役していることが分かった。電子欠損性の高い化合物を使い逆電子要請型で進行する反応条件の究明が今後の検討課題である。
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