研究概要 |
本研究ではヘテロ共役エノン、共役ジエノンの光[2+2]付加反応を解析して、その選択性の因子を明らかにするとともに、選択的光付加反応を利用して官能基の立体化学がコントロールされたシクロブタン部を調整する。さらに、歪みを内蔵するシクロブタン部を選択的に開環させ、中員環エーテルへの誘導ならびに骨格変換を利用したヘテロ環新規骨格化合物の合成法を開発する。平成8年度の研究では次のことを明らかにした。 1.ヘテロシクロペンテノンの1つである3(2H)-フラノン体とエチルビニルエーテル等のエチレン置換体との光反応による付加配向および立体選択的[2+2]付加反応等を解析した。オレフィン部に水酸基をもつ3(2H)-フラノンは電子不足なエチレン置換体および電子不足なアセチレン置換体と配向特異的に[2+2]付加した。これらの付加体の生成は励起三重項フラノンからのフロンティア軌道相互作用効果により合理的に理解された。 2.ヘテロシクロヘキサンジエノンの1つの2-ピロン体は、固相光反応で電子不足な環状オレフィンと5,6一位と求核的な付加反応性を示し、付加位置および立体特異的な[2+2]付加体を与えた。 3.2-ピロン体をメチレン側鎖でつないだジ-2-ピロン体を調整し、ジオレフィンとの光付加反応を行ないヘテロ大環状化合物へ誘導した。その反応選択性の因子も明らかにできた。メチレン鎖長を変えたジ-2-ピロンとジオレフィンとの反応を検討することにより、さらなる大環状化合物の合成が期待される。
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