化学・酵素合成したC-3位にα-D-グルコピラノシル残基の枝を有する(1→6)-α-D-グルコピラナンが血糖降下作用を有することがわかった。そこで、無水グルコース誘導体の重合によって得られるグルカンへの位置特異的キシロース導入によるキシログルカンの合成、無水マンノース誘導体の重合によって得られるマンナンへのグルコース導入によるグルコマンナンの合成、および無水デオキシグルコースのの重合によって得られるデオキシグルカンへのグルコース導入によるグルコデオキシグルカンの合成、さらには天然多糖であるカードランへのグルコース導入による分枝グルカンの合成について検討した。キシロシル化反応によって得られたポリマーの^<13>C-NMRスペクトルは、全てのピークが幅広く、何らかの三次元構造を有しているものと考えられる。そこで、低分子量のポリマーを用いてキシロシル化反応を行った。主鎖となるD-グルコースのC-6炭素のピーク面積と枝糖であるD-キシロースのC-5炭素のピーク面積を比較することにより、枝の導入率は約50%と計算された。一方、C-1炭素のピーク面積を用いて計算したD-キシロシル残基のアノマー構造はα:β=46:54であった。二種類の保護基を有する無水マンノース誘導体は立体障害のために低い重合性を示した。一方、立体障害の少ない無水デオキシグルコース誘導体は立体規則性多糖を与えた。デオキシグルカンへのイミデ-ト法によるグルコシル化を行ったところ、ほぼ定量的な枝糖の導入が確認された。また、天然多糖であるカードランへの選択的な保護基の導入はパラメトキシトリチル基を用いることによって、分子量の低下が起こらないことを確認した。カードラン誘導体にグルコシル化を行うことによって、C-6位にグルコースの枝を有する分枝β-グルカンが得られた。
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