研究課題/領域番号 |
07651079
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小平 俊之 福井大学, 工学部, 教授 (40020226)
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研究分担者 |
橋本 保 福井大学, 工学部, 助教授 (00198681)
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キーワード | 環化重合 / ラジカル重合 / 1,6-ジエン / α-置換アクリル基 / アリル基 / 完全環化高分子 / 置換基効果 / NMR |
研究概要 |
環化重合における構造規制の最も基本的な問題は環化率の制御である。我々は既に対応する1官能性化合物が単独重合しがたい2官能性化合物は高環化率のポリマーを与えるとの原則を確立してきた。しかし、このように設計されたモノマーの低重合性が問題点として残されていた。そこでこの点を解決するため、これまでに報告されたモノマーの重合性に関する詳細な検討を行い、非重合性で高い共役性を有する官能基を利用することにより、高重合性でしかも高環化率のポリマーを与えるモノマーの設計が可能であるとの仮説を導いた。本研究ではこの仮説を立証するためにN-置換-N-アリル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミン(SAMC)を合成し、その環化重合性を検討するとともに、N-位の置換基の環化重合性に及ぼす影響を検討した。なお、用いた置換基は、メチル、プロピル、t-ブチル及びフェニル基である。 SAMCの対応する1官能性化合物である、N-置換-N-プロピル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミンも合成し、その重合性調べたところ、いずれも重合性を有していなかった。また、もう一方の対応するモノエンに相当するアリル化合物の低重合性は良く知られている。従って、SAMCの2つの2重結合は単独重合性を有していないことになるが、上記の原則の通りSAMCはすべて完全に環化したポリマーを与えた。重合性はメチル>プロピル>t-ブチル>フェニル置換体の順に低下した。メチル及びプロピル置換体は、高重合性のモノマーとして知られている、N,N-ジ置換アクリルアミドと同程度の重合性を有していることが判明した。置換基による重合性の相違はフェニル置換体を除き、SAMCのアクリル基の共役性と関係づけることが出来、先の仮説の正当性を立証することができた。フェニル置換体については今後の検討が必要である。
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