1)アントラセンとナフタレン骨格の芳香族ビスケテン(9、10-ジカルボニル-9、10-ジヒドロアントラセン(1)と1、4-ジカルボニル-1、4-ジヒドロナフタレン(2))はバーチ還元、続く二酸化炭素との反応、ジカルボン酸の酸塩化物への変換、脱気ベンゼン中での脱塩化水素反応によりベンゼン溶液として得ることが出来た。1、2-ジカルボニル-1、2-ジヒドロベンゼン(3)はベンゾシクロブテンの光反応により得ることが出来る。 2) 1と4種類のベンゾキノン類との反応を室温で行い、いずれの場合もポリマーを収率よく得た。得られたポリマーのキャラクタリゼーションより芳香族ポリエステルであることが明らかになった。1とベンゾキノン類との間で無触媒交互共重合が起き芳香族ポリエステルを生成することが明らかとなった。 3) 2は高反応性のため高濃度の溶液としては得られなかった。2の前駆体である酸塩化物とベンゾキノン類あるいはベンゾキノンジイミン類とを混合した後、その溶液に塩基を加えることで系中に2を発生させ反応させた。得られたポリマーのキャラクタリゼーションより、ベンゾキノン類との反応生成物は芳香族ポリエステル、またベンゾキノンジイミン類との反応生成物は芳香族ポリアミドであることが明らかになった。1とベンゾキノン類おるいはベンゾキノンジイミン類との間で無触媒交互共重合が起き芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミドを生成することが明らかとなった。 4)ベンゾシクロブテンに光照射することにより系中に3を発生させベンゾキノン類あるいはベンゾキノンジイミン類と反応させた。得られたポリマーのキャラクタリゼーションより、ベンゾキノン類との反応生成物は芳香族ポリエステル、またベンゾキノンジイミン類との反応生成物は芳香族ポリアミドであることが明らかになった。3とベンゾキノン類との反応系のESR測定より重合はラジカル機構で進行していること、またポリマーの分子量が時間とともに増加することによりジラジカルが生成し、その再結合反応でポリマーを生成することが明らかになった。しかし、光照射により生成ポリマーの分解反応が起きるため高分子量のポリマーを生成しないことも明らかになった。
|