研究概要 |
1.セルロース誘導体による重金属イオンの吸着においては、側鎖中のアルキル基で隔てられた2個のヘテロ原子と重金属イオンとの環状のキレートの形成が重要な役割を演じていると考えられる。そこでクロロデオキシセルロースとアルキルアミンとの反応により、側鎖中に1個のヘテロ原子しか含まない、長さの異なったアルキルアミノ基を有するセルロース誘導体を合成し、その重金属イオン吸着能について検討を行なった。これらのセルロース誘導体はいずれもCu^<2+>に対して選択性を示したが、側鎖中に2個のアミノ基を有するセルロース誘導体に比べてはるかに低い吸着能しか示さず、キレート環の形成が重金属イオンの吸着に重金属イオンの吸着に重要な役割を演じているが証明された。 2.ヘテロ原子として酸素と窒素を含んだセルロース誘導体として、クロロデオキシセルロースとN-クロロコハク酸イミドとの反応により6-(γ-カルボキシブチルアミノ)デオキシセルロースを合成することができた。 3.クロロデオキシセルロースよりも反応性にとむブロモデオキシセルロースの合成法として、セルロースのトリブロモイミダゾール/トリフェニルホスフィンによる臭素化があるが、そのさい高置換度ではその加水分解により3,6-ジブロモ-3,6-ジデオキシアロースと3,6-ジブロモ-3,6-ジデオキシグルコースとが生成する。その原因を解明するために、モデル実験を行ない、最初生成したジブロモアロシドが臭素化の間にジブロモグルコシドに変わることを明らかにした。
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