液晶性と磁性を合わせもつ導電性供役系高分子の開発

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07651092
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 赤木 和夫 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20150964)
• 研究分担者: 白川 英樹 筑波大学, 物質工学系, 教授 (40016720)
• キーワード: 導電性高分子 / 磁性 / 安定ラジカル基 / 液晶性 / ポリアセチレン誘導体 / ESR

研究概要

本研究は、共役ポリエンを主鎖とする高分子の側鎖に、液晶基と安定ラジカル基を導入することにより、液晶性と磁性を合わせもつポリアセチレン誘導体を合成し、その液晶性と磁気的性質を検討することで、自律配向能を有する強磁性有機高分子を開発することを目的とした。
先ず、シクロヘキシルフェノキシ部位をメソゲンコアーとする液晶基をもつ一置換アセチレンを合成した。これと、水酸基をトリメチルシリル基で保護したジタ-シャリーブチルフェノール誘導体とをグリニヤールカップリングにより反応させ、二置換アセチレン誘導体モノマーを得た。次にこれを五塩化タンタル触媒を用いて重合し、ポリ(二置換アセチレン)誘導体を合成した。さらに、側鎖のひとつであるフェノール部位の水酸基を脱保護した後、酸化剤(PbO_2)を用いてフェノキシラジカルを得た。示差走査熱量計および偏光顕微鏡を用いて、ポリマーの液晶性を確認した。液晶温度領域において電子スピン共鳴の測定を行い、液晶側鎖の自発配向に基づくスピン強度の異方性を確認した。しかしながら、液晶温度の高温領域である150℃以上ではラジカルは消失したため、ラジカルスピンの巨視的配向を行うには、液晶の低温領域で配向を行う必要がある。また、今後、ポリマーの収率とスピン濃度を上げるためには、水酸基をアセトキシ基で保護したアセチレン誘導体モノマーの重合や、各ユニットに液晶基と安定ラジカル基をそれぞれ持つ共重合体を合成する必要がある。

研究成果

• [文献書誌] K.Akagi: "Ferroelectric Liquid Crystalline Conducting Polymers-Synthesis and Properties of Polyacetylene Derivatives with Chiroptical Liauid Crystalline Groups" Synthetic.Metals. 84(1-3). 313-316 (1997)
• [文献書誌] K.Akagi: "Liquid Crystalline Titanocenes with Catalytic Activity for Polymerizations of Acetylene Derivatives" Synthetic.Metals. 86(1-3). 1879-1880 (1997)
• [文献書誌] H.Goto: "Synthesis and Properties of Small-Bandgap Liquid Crystalline Conjugated Polymers" Synthetic.Metals. 84(1-3). 385-386 (1997)
• [文献書誌] R.Toyoshima: "Syntheses and Properties of Poly(thienylenevinylene)Derivatives With Hexyl Groups" Synthetic Metals. 84(1-3). 431-432 (1997)
• [文献書誌] H.Goto: "Synthesis and ESR Characterizations of Conjugated Polymers with Nitrogen Aroms" Synthetic Metals. 85(1-3). 1683-1684 (1997)
• [文献書誌] K.Akagi: "Photo-Responsible Liquid Crystalline Conducting Polymers" Journal of Photopolymer Science and Technology. 10(2). 233-240 (1997)
• [文献書誌] K.Akagi(分担): "Current Trends in Polymer Science" Research Trends, 107-124 (1997)
• [文献書誌] K.Akagi(分担): "Electrical and Optical Polymer Systems:Fundamentals,Methods,and Applications" Marcel Dekker, 983-1010 (1997)