研究課題/領域番号 |
07651100
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩田 一良 福井大学, 工学部, 教授 (00020230)
|
研究分担者 |
田中 光也 福井大学, 工学部, 教務職員 (40227179)
大月 俊也 福井大学, 工学部, 助教授 (10203845)
|
キーワード | 高分子結晶 / からみ合い / トポロジー的斥力 / 局所むすび目 / シミュレーション |
研究概要 |
溶融高分子が結晶化する過程において、高分子の絡み合いが解かれることなくアモルファス部に濃縮され、それが高分子結晶の構造や機械的性質を決めている考えに基づいて、絡み合いの濃度の関数として高分子エレメントの化学ポテンシャルを計算機シミュレーションの方法で求め、高分子の結晶層とアモルファス層の自由エネルギーの釣合の式から、高分子結晶の構造の研究を行った。 アモルファス層の高分子のモデルとして多数の環状高分子が絡み合ったいわゆるカテナ網目を考える。まず初めに、トポロジー的平衡にあるカテナ網目をを従来の方法で作り、エレメント濃度と高分子間の絡み合い(トポロジー状態)を保存したまま、系の体積を変え外界と高分子エレメントの流入・流出平衡のシミュレーションを行った。エレメントの化学ポテンシャルは、系内のエレメントの流入・流出確率の比から求め、アモルファス層の化学ポテンシャルを絡み合い濃度(局所結び目濃度)の関数として求めた。一方、結晶層の化学ポテンシャルは結晶の融解温度と融解エントロピーの既存の実験値を用いて計算し、系全体の自由エネルギーの極小条件を用いて、アモルファス層の分率を温度の関数として定めた。その結果は、高分子の結晶構造のこれまで知られている様々の事実を良く説明できるものであることが分かった。また、絡みやすい高分子ほど結晶化しにくいという、これまで知られていない結果が得られた。現在は、より広い条件下でこのシミュレーションを行い、また高分子結晶化のモデルをより精密化して、絡み合いが高度に濃縮されたアモルファス部の性質を研究する事に行っている。
|