古典的な酸素結合系であるサルコミン微結晶を分散、相溶生よく高分子中に担持させると、極めて鋭いS字型の酸素収着平衡曲線を示すことを見出した。いわば協同的な結合反応が極めて単純な複合ポリマー材料で、気体酸素分子を対象にはじめて観測されたので、この協同過程をサルコミン微結晶の構造とそれを取り囲む高分子物性の作用として解析し、高分子に独特な協同効果としてシュミレーションするとともに、雰囲気の酸素濃度に応答して物性が顕著に変化するオンオフ素子として応用する可能性を明らかにすることが、本研究の目的である。平成7年度の成果をもとに、オンオフ素子としての実証を進めた。 まず、酸素を結合したサルコミン結晶のX線構造解析など、酸素結合にともなう微細構造の変化を定量化した。これが複合ポリマーでのバルクな形態変化を引き起こす過程を証明した。次いで、カーボンなどのサルコミン複合系も調製し、協同的酸素結合を一般現象として検討した。選ばれたサルコミン系からオンオフ素子を組立て、電気信号による酸素結合・放出も実証した。以上を総合して、酸素結合の協同効果発現に必要な因子を定量的に論議しとりまとめるとともに、オンオフ素子としての設計手順をまとめた。
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