(1)アルゴンを作動流体とする自己誘起磁場型MPDアークジェットの1次元モデルに関し、電離非平衡、熱的非平衡を考慮して数値シミュレーションを行い、これらの非平衡の存在がMPDアークジェットの性能に及ぼす影響につき検討し次の結果が得られている。Back-EMF Onsetが起こっている所では、電子温度と重粒子温度が近づく傾向がある。アークジェットの性能評価に対しては、プラズマ制動幅射の影響も考慮されなければならない。 (2)MPDアークジェットのオンセット現象、比水力、推進効率に及ぼす放電ヘッド形状の影響を実験的に検討した。ここで、作動ガスはアルゴン、作動形態は準定常、電流領域は300A-700Aとした。 放電ヘッド形状がストレート型、フレア型、ラバール型の場合に対し、それぞれ相似的に倍率を変えたもの2種について実験・計測を行い、次の結果が得られている。本実験の領域では、放電電流-電圧特性は大部分が垂下特性であったが、フレア型の場合一部上昇特性がみられた。同一の放電電流に対し推力の大きさは、ストレート型が最も小さくフレア型が最も大きかった。一般に流量の増大は推力を大きくするが、フレア型の場合逆の傾向も見られた。比推力、推進効率については、フレア型の場合に600sec、15%程度の値が得られたが、ストレート型、ラバール型の場合には低い値しか得られず、特に前者の場合に著しかった。本実験の結果は、本実験に比べ大電流の領域で行われている宇科研の結果とほぼ矛盾なく結ばれている。
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