構造物の破損の原因の主なものとして一般に疲労があげられ、疲労き裂伝播率はいろいろな因子によってバラツクことが知られている。実験室レベルの小型試験片の精度の高い疲労試験データもバラツク。この原因は単に材質の不均一だけによらず、標準試験片形状にも関与するとなると、疲労寿命算出の基礎となるだけに重要な問題である。 本研究では鋼材の疲労き裂伝播率に及ぼす主な因子、試験片幅W、aspect ratio(き裂長さ・試験片幅)、応力比R等の影響について検討した。試験に供した材料は50kg/mm2級高張力鋼BS4360で、形状はコンパクトテンション型とし、応力拡大係数幅ΔK一定環境で試験を実施した。また、有限要素法を用いてき裂伸長線上における2次元弾塑性応力解析を行って各因子の影響を検討した。 本研究で得られた結果を要約すると以下のようになる。 (1)試験片幅が小さくなるとき裂伝播率は大きくなる。 (2)aspect ratioが大きいところでき裂伝播率は大きくなる。 (3)き裂伝播率は応力比Rによっても影響を受けて、増加する。
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