本年度は航走波による波強制力(以下、航走波強制力)を実験と簡易計算によって求めた結果を比較し、簡易計算の有効性を調査することを研究目標とした。 先ず、実験で得る航走波強制力と簡易計算で得るそれを比較した結果は次のようである。 (1)縦揺れモーメントは最大値と最小値の現れる動揺船向首角がほぼ一致するが、その数値は10〜20%実験値の方が太きく現れた。 (2)これに対して横揺れモーメントは、最大値の現れる向首角に差違があったが、モーメントの数値は良く一致した。 (3)上記の結果は、航走船が低速の場合についても同様であった 以上の調査結果は、任意船型の航走波強制力概算の可能性を示すものと言える。 次に簡易計算の航走波強制力とこれを受ける小型船の動揺との関係を調査し、最大縦揺れ・横揺れモーメントの現れる向首角は、動揺角がそれぞれ最大となる向首角にほぼ一致することが確認できた。 以上の今年度の調査により、任意船型の小型船の航走波強制力を簡易計算によって推定し、これを用いて動揺を概算できる見通しを得た。 平成10年春に航走波の波強制力関連の調査結果をまとめ、公表の予定である。動揺の概算などについては順次公表の予定である。
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