本研究は、海中での複雑な作業における自律化を目標として、複数の腕を持った水中ロボットが、浮遊状態でこれらを協調してさまざまな作業を行うことを考える。 まず外力を含んだ宇宙ロボットの逆運動力学計算法を参考にして、複数の腕を持つ水中ロボットに対する逆動力学および逆運動学計算法を定式化し、複数のスタビタイジング・アームを用い作業腕の先端の位置のオープンループでの制御法を示した。具体的なモデルを用いた数値シミュレーションを検討することによって、次のような結論を得た。 1)作業腕のみの単腕の場合、水中ロボット本体と腕の間で動力学的干渉が生ずる。 2)スタビライジング・アームを用いることによって、作業腕の先端の位置制御精度の向上をはかることができる。 3)スタビライジング・アームと作業腕の併用は、水中ロボットの姿勢変化を抑える効果を持つ。 今後の課題として、次の点が挙げられる。 1)水中ロボット、作業腕、スタビライジング・アーム間の動的干渉に関する実験、 2)作業腕の先端の位置の閉回路制御、 3)作業腕の先端の位置および力の制御。
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