本研究は、海中での複雑な作業における自律化を目標として、複数の腕を持った水中ロボットが浮遊状態でこれらを協調してさまざまな作業を行うことを考える。 平成7年度では、複数の腕を持つ水中ロボットに対する逆運動力学および逆運動学の定式化および数値シミュレーションを行った。本年度は、そこで得られた結果の中で、スタビライジング・アームを用いることによって、作業腕の先端の位置精度の向上が計れる点に着目して、このスタビライジング・アームの性能を中心に研究を行った。 具体的には、このスタビライジング・アームの効果が魚の胸鰭と共通点があるため、魚の胸鰭の運動の観察に基づく胸鰭運動装置の製作を行い、この装置の流力特性とこの装置を装着した水中ロボットの運動特性の実験解析を行った。その結果、次のような結論が得られた。 1)胸鰭運動装置のリ-ド・ラグ運動とフェザリング運動を組み合わせることによって、前進力や後退力を発生させることができる。 2)左右一体の胸鰭運動装置を装着した水中ロボットは各々の胸鰭運動装置のリ-ド・ラグ運動とフェザリング運動の位相差を変えることで、前進、後進、旋回することが可能である。 3)胸鰭運動装置は水中ロボットの姿勢安定化装置として、適用可能である。 今後の課題として、次の点が挙げられる。 1)水中ロボット、作業腕、胸鰭運動装置間の動的干渉に関する実験。 2)作業腕の先端の制御実験。
|