本研究の目的は、フーチングのない巨大箱型構造物が、波長・波高・波向角を種々に変えたときの動的応答特性を明らかにすることである。 本研究では先ず巨大箱型構造物を弾性基礎上の有限長さの梁に置き換え、これに波浪による起振力が加わったときの構造応答をモード法によって導いた。即ち波強制力による構造物の強制振動変位は各固有モードの重ね合わせとなるが、各固有モードに対応する強制振動変位を無次元化し、この無次元値を決定するパラメターを明らかにした。 次に波長を100m、200m及び300mと3通りに変えたときの上記無次元値を求めた。その結果各モードの強制振動変位は次数が高くなる程減少する傾向にあるが、その減少の度合いは極めて緩やかなので、最終的な強制振動変位を求めるには、非常に多くの項数をとらなければならないことが分かった。これは波長に比べて構造物の長さが非常に長いために、共振ピークが殆ど連続的に多数存在するためである。今回取り上げた例では本方法による場合は、および100項まで求めて重ね合わせれんけばならないことが分かった。このことを確認するため鈴木英之らが導いた直接法ともいうべきものとの比較も行い、同様の結論を得た。 また一方巨大箱型構造物を平板と見なし、これに有限要素法を適用して固有モードを求めた。板としてのモードは、構造物の幅方向には変化しない、梁としてのモードと、ねじれを伴うモードに分かれるが、有限要素法で求めた梁としてのモードの固有値は、弾性基礎上の梁と見なして求めた固有値とよい一致を示すことが確認された。
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