本研究の目的は、フーチングのない巨大箱型構造物が、波長・波高・波向角を種々に変えたときの動的応答特性を明らかにすることである。 本研究では先ず巨大箱型構造物を弾性基礎上の有限長さの梁に置き換え、これに波長による起振力が加わったときの構造応答をモード法によって導いた。即ち波強制力による構造物の強制振動変位を各固有モードに対応する強制振動変位を無時元化し、この無時元値を決定するパラメターを明らかにした。 次に波の固有角振動数ωを0、0.2、…、2.8rad/sと0.2rad/s毎に変えて上記強制振動変位の無時元値を求めた。ωを0から次第に増加すると浮体の端部の変位は0.4rad/s付近でピークを示し、以後次第に減少する。そして2.23rad/sで中心部、端部共に大きな値を取り、以後小刻みにいくつものピークが現れる。これはこの浮体の固有モードの固有角振動数に対応する。 モード法による場合は、最終的な強制振動変位を求めるためには、非常に多くの項数を取らなければならない。これは波長に比べて構造物の長さが非常に長いために、共振ピークが殆ど連続的に多数存在するためである。鈴木らが導いた直接解と比較するとヒーブ角振動数より低い角振動数領域では100項取れば十分であるが、それより高い角振動数領域ではさらに多くの項数を取らなければならないことが分かった。 また一方巨大箱型構造物を平板と見做し、これに有限要素法を適用して固有モードを求めた。板としてのモードは、構造物の幅方向には変化しない、梁としてのモードとねじれを伴うモードとに分かれるが、有限要素法で求めた梁としてのモードの固有値は、弾性基礎上の梁と見なして求めた固有値とよい一致を示すことが確認された。
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