近年、新素材の研究開発は飛躍的に発展している。ファインセラミックス、超伝導材料などの製造には、ミクロンあるいはサブミクロンオーダの粒径のそろった微粉粒子を工業的に大量に製造する技術が必要である。すなわち粉砕・分級の新たな手法の開発が強く望まれている。研究代表者らはこの中の分級に関し、遠心力を利用した超微粒子のサイクロン式精密分級機の開発を目的として研究を行っている。粒子の精密分級に関してはサイクロン内部の速度の分布は勿論、流れの乱れ度も関係すると思われる。そこで、平成7年度はサイクロン内部の流れ状態について熱線プローブを用いて、その三次元平均流れの分布、乱れ強さの分布、さらにレイノルズ応力の分布について調べた。乱流計測法に関しては本研究のために研究代表者らが開発した熱線流速計を含むコンピュータ制御の全自動計測ステムを使用した。実験はサイクロン下部に位置する空気出口管路径が異なる5種類のサイクロン形状に対して行った。計測の結果、サイクロンの出口形状は内部流れのフローパターンに大きな影響を与えることが明かとなった。 さらに実験と並行してナビエ・ストークスの方程式を解く数値解析によっても内部の流動状態を調べた。従来はサイクロンのような旋回流に対してその流れを精度よく解析することは困難であったが、本研究では内部流れの計測結果と比較しながら解析の精度を向上させた結果、サイクロンの内部流れ状態をかなりの精度でシミュレートできるようになった。また最新の乱流モデルを使用した数値解析法によっても現在計算を進行中である。
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