研究概要 |
近年,新素材の研究開発は飛躍的に発展している.ファインセラミックス,超伝導材料などの製造には,ミクロンあるいはサブミクロンオーダの粒径のそろった微粉粒子を工業的に大量に製造する技術が必要である.すなわち粉砕・分級の新たな手法の開発が強く望まれている.研究代表者らはこの中の分級に関し,遠心力を利用した超微粒子のサイクロン式精密分級機の開発を目的として研究を行ってきた.粒子の精密分級に関してはサイクロン内部の速度の分布は勿論,流れの乱れ度も関係すると思われる.そこでサイクロン内部の流れ状態について,傾斜形熱線プローブを用いてその三次元平均流れの分布,乱れ強さの分布,さらにレイノルズ応力の分布について調べた.乱流計測法に関しては本研究のために研究代表者らが開発した熱線流速計を含むコンピュータ制御の全自動計測システムを使用し,また精度のよい計算法についても詳細な調査を行った.実験はサイクロン下部に位置する空気出口管路径が異なる5種類のサイクロン形状に対して行った.計測の結果,サイクロンの出口形状は内部流れのフローパターンに大きな影響を与えることが明らかとなった.また先の三次元流速分布を基に一孔ピト-管を用い静圧の分布を測定した.この静圧の半径方向分布と,流れ状態から計算できる遠心力とから,種々のサイクロン形状について,粒子の分級性能についても調査を行った.これら一連の研究から,サイクロン分級機内部の流れ構造,特に乱流輸送現象やエネルギ損失のメカニズムが明らかとなった.
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