研究概要 |
現在までの研究で、微生物がウランなどの重金属元素を多量に濃縮すること、これらの微生物による重金属元素の濃縮が、代謝を通して行われるのではなく、細胞表面への物理化学的吸着性が強いことを認めている。そこで、わが国及び北米のウラン鉱山周辺の水、土壌から分離した微生物のウラン濃縮脳を調べたところ、微生物菌体1g当りに600mgのウランを濃縮できる高性能ウラン濃縮菌数種を見出した。ビデオミクロメーターによる形態観察、染色性、糖資化性、胞子形成の有無などにより、これら高性能ウラン濃縮菌は、Lactobacillus,Arthrobacter及びBacillusであることがわかった。また、これら微生物によるウラン濃縮特性を調べたところ、濃縮の速度が極めて速いこと、pH6で最大の濃縮量を示すこと、フロイントリッヒの吸着等温式に従うことなどが明らかになった。これらの基礎知見をもとにして、含ウラン廃水からのウランの回収除去を試みたところ、これら高性能ウラン濃縮菌は、高率ウランを回収除去できることがわかった。これらの成果は、環太平洋国際化学会議(1995年12月、米国ホノルル)において発表した。一方、種々の生体物質について、重金属元素吸着能を調べたところ、固定化柿渋タンニンが、金に強い親和性を示し、担体1g当りに2.82gの金を吸着できることがわかった。これらの成果は、XIX International Mineral Processing Congress(1995年10月、米国サンフランシスコ)において発表した。
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