研究概要 |
昨年度の研究で、わが国及び北米のウラン鉱山周辺の水、土壌から、高性能ウラン濃縮菌数種を分離した。また、これら高性能ウラン濃縮菌が、含ウラン廃水から高率でウランを回収除去できることがわかった。そこで、今年度は、より優れたウラン濃縮菌を得るために、微生物検索の範囲を広げ、オーストラリアのウラン鉱床周辺、及び砂漠地帯、湿地帯などの特殊環境地域の水、土壌から微生物を分離し、ウラン濃縮能を調べた。その結果、高性能ウラン濃縮菌数種を見出した。形態観察、染色性、糖資化性、胞子形成の有無などにより、これらの高性能菌は、Bacillus属の細菌であることがわかった。これらの高性能ウラン濃縮菌は、微生物菌体1g当りに615mgのウランを濃縮することができる、銅、カドミウムなどに比してウランを選択的に濃縮できる などのことがわかった。一方、宮崎県内の金属鉱山周辺の水、土壌について、水銀、鉛、銅、カドミウムなどの重金属濃縮菌の検索を行った。その結果、水銀、鉛などを高濃度に濃縮できる微生物数種を分離した。また、これら重金属濃縮菌による重金属元素選択濃縮能は、菌の種類によって異なることがわかった。また一方、生体物質の一つである樹皮について、重金属吸着能を調べたところ、キタコブシ、シナノキなどの樹皮が高いウラン吸着能を示すことがわかった。これらの成果は、Resource and Environmental Biotechnlogy,Vol.1(1996)pp129-143に発表した。
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