研究概要 |
ダイズは、世界各地で広く栽培されている適応性の高い作物の一つである。この広域適応性を支えているのが、開花や登熱を決定する遺伝機構の多様性である。ダイズは短日により花芽が誘導される感光性植物として知られているが、生育期間が限られ生育盛期に長日をむかえる高緯度寒冷地域では、長日により花芽形成が抑制されない長日不感受性が重要な適応的特性となる。本研究は、長日感受性の異なる北海道の品種・在来種間の交雑後代の解析より、その遺伝機構を検討した。その結果、ダイズの長日不感受性には、従来知られてきたe3やe4に加えて、新たに1対ないし2対の遺伝子(e6, e7)が関与することが明らかとなった。これらの遺伝子は、ともにEAの効果を相殺するか抑制することにより、e1やe3との組み合わせの下で長日不感受性をもたらす。したがって、ダイズの長日不感受性は、これまでに報告されてきたe3e3e4e4に加えて、e1e1e3e3e6e6やe3e3e7e7など多様な遺伝子型によってもたらされていた。これら感光性遺伝子の近傍域のDNA多型を探索するため、6種の感光性遺伝子に関する準同質遺伝子系統を用いてRAPD分析を行った。その結果、E5ならびにE4あるいはE7に関する準同質遺伝子系統に特異的なRAPDが検出された。これらのRAPD標識はE5ならびにE4あるいはE7の遺伝子間相互作用や他の遺伝子との対立性を検討する上で有用である。
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