研究課題/領域番号 |
07660005
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
氏原 暉男 信州大学, 農学部, 教授 (60021060)
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研究分担者 |
南 峰夫 信州大学, 農学部, 助教授 (30174098)
俣野 敏子 信州大学, 農学部, 教授 (00021080)
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キーワード | ソバ属の種間雑種 / 種間雑種の形態 / 種間雑種の自殖性 / 種間雑種の育種素材 / Fagopyrum homotropicum |
研究概要 |
1.初年度(平成7年度)においては、本研究の当初の目的である普通ソバと、その近縁野生種の一つである中国原産のFagopyrum homotoropicumとの種間雑種を通常交配によって作出した。F.homotoropicumは、普通ソバと形態的には類似しているが、普通ソバが異型花による他家受精により種実を得る特性を持つのに対し、F.homotoropicumは同型花で自家受精を営む。 一般的に種間雑種は稔性に障害が起こることが知られているために、雑種個体はすべて、in vitoroの条件で継代培養を行い、随時馴化して生育させた。生育した雑種2系統を両親と比較したところ、葉の形態は両親よりも細長く、基部のくぼみが深い特性を示した。また、葯当たりの花粉数は雑種系統No.87では両親の中間の値を示したが、No.83はかなり低い値であった。花器の形態は雑種系統ではかなり大きな変異を示し、また、花被色も白から薄いピンクであり雑種の系統によって異なっていた。最も重要である花柱の形態は、F.homotoropicumと同様な同型花柱性を示し、自家受粉による稔性も高く、多数の種子を得ることができた。種子の形態や1,000粒重は、ほぼ両親の中間の値となった。 2.次年度(平成8年度)は、前年度の高配によって得られたF_1種子を供試して個体ごとに隔離栽培を行い多数のF_2種子を獲得した。F_2における花器形態、葉身の形態などについて両親と比較した。その結果、F_2の花型は同型花型と長柱花型に分離したが、両雑種ともに同型花型の個体の割合が高かった。F_2の稔性は開花小花数の約2割と少なかったが、この原因として開花期の低温が影響を及ぼしたと考えられた。葉及び花器の形態や花被色は、雑種のほぼ両親の中間であった。
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