研究概要 |
本研究では,Oryza glaberrimaの持つ普遍的形質(特に,葉舌長,無毛性,穂相,雑種不稔,種子休眠性程度,低温ストレス耐性,乾燥ストレス耐性,一年生程度)の遺伝的解明と育種的利用を目的として, Whole Genome SelectionによるOryza glaberrima染色体置換イネの作出とそれらの形質評価を行うことを計画した.本年度に得られた結果の概要は次のようなものである. (1)O. sativa/O. glaberrima//O. sativa (B_1F_1) におけるマップの構築とWhole Genome Selection : セネガル産のO. glaberrima (IRGC104038)に日本型品種「台中65号」(O. sativa)を反復親として,戻し交配を行い,69個体からなるB_1F_1集団を育成した.この集団を用いて,約70個のRFLPマーカーからなるRFLP連鎖地図を構築した.この結果に基づき染色体置換候補個体を決定した. (2)B_2F_1におけるWhole Genome Selection : B_1F_1のWhole Genome Surveryの結果から、O. glaberrimaの各染色体について置換候補個体を選び,B_1F_1を100個体育成した.現在,この100個体のWhole Genome Surveryを行っている. (3)B_2F_2の育成と選抜: B_2F_1個体には稔性が良いものも見られたので,これについては,B_2F_2種子を収穫した.現在,このB_2F_2を育成中である. (4)戻し交配とB_3F_1の育成: 育成したB_2F_1に戻し交配を行い,B_3F_1種子(120系統)を得た.現在,このB_3F_1を育成中である.
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