新規の花粉の処理試験は行なわず、既に予備的研究のため保存してあった長期貯蔵花粉について、生存確認と発芽能力および受精能力の検定を実施した。 (1)ナシ長期貯蔵花粉の生存確認 20-21年前に予備的試験として、凍結乾燥その他の方法により処理し、-20℃で保存してあたったナシの花粉について、人工発芽床で発芽試験を行ない、生存を確認した。発芽率は51%で、新鮮花粉の60-70%に僅かにおよばなかったが、花粉管の伸長も正常であった。 (2)モモ長期貯蔵花粉の生存確認 20-21年前に予備的試験として、乾燥剤その他の方法により処理し、-20℃で保存してあったモモの花粉について、人工発芽床で発芽試験を行なった。生存を確認し、かなりの率の花粉で膨潤し、発芽が認められたが、花粉管の伸長はほとんど認められなかった。 (3)ナシ長期貯蔵花粉の受精能力確認 凍結乾燥し、20-21年間-20℃で保存してあった(1)のナシ長十郎品種の花粉の受粉試験を鹿児島県果樹試験場北部支場の幸水品種の成木を用いて行なった。結実率44%、平均果重178g、平均種子数2.6を得た。新鮮花粉と比較するとやや受精力は低下するものの、育種の交雑用には十分な受精能力があることを確認した。
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