研究概要 |
コムギのジベレリン感受性に関わる突然変異Gai1,Gai2,Gai3の同質遺伝子系(Maringa-rht,Rht1,Rht2,Rht3)を用い、ジベレリン感受性の発達する受精後30-40日の種子の糊粉層のmRNAをdifferentail display法により比較し、異なるPCR fragmentsからmRNAを探索しジベレリン感受性に関わる遺伝子を明らかにしようと試みた。昨年度、コムギ種子発達期の長雨等の異常気象が、受精後30-40日の種子の収穫を妨げ充分な資料を採取できなかったため、充分な分析が進んでいないが、現在温室の材料を分析中である。一方、ジベレリン非感受性のGai3突然変異体は、低温処理によりその感受性が正常に戻ることが報告されており(Singh and Paleg.1984a,b,c,Plant Physiol.)、この性質はホルモン感受性遺伝子の性質を知る上で重要な情報であるので、この性質について分析を進めた。現在までの結果では、この突然変異遺伝子は予想に反して、低温処理によりその感受性は変化しないことが明らかになった。Singh等は異なる品種を使用しており、我々は同質遺伝子系を用いていることから、遺伝的な背景の違いが低温による感受性変化に関係している可能性を示唆している。
|