コムギのジベリレン感受性に関わる突然変異Gai3の同質遺伝子系(MaringaのrhtとRht3)及びTordo(Rht3)を用い、低温給水によるジベリレン感受性の変化について調査した。このジベレリン感受性は、30℃12時間の前吸水の後、5℃24時間の低温吸水するとジベレリン感受性が回復することで明らかになった。また、正常系統の種子糊粉層のジベレリン感受性が受精後30-40日の種子で発達することから、種々の乾燥がこの発達に関係していることを示唆した。Rht3系統ではジベレリン感受性は、種子の発達期間中に全く発達しない。これらの知見はジベレリン感受性が乾燥や低温という刺激に作用される形質であることを示すと共に、Rht3変異は感受性に関わる遺伝子が機能的に添加している突然変異体であることを示唆している。このような変異をdifferential display法によって見いだすことは困難と思われるが、可能性を求めて試みた。MaringaのrhtとRht3の受精後35日の糊粉層のmRNAをdifferentail display法により比較した。Arbitrary primerとオリゴdT primerを用いてrhtとRht3間で7つの異なるPCR産物を見いだし、その塩基配列を同定した。これらは、いずれも114bpから180bpの小さいDNA断片であったことやオリゴdT primerを一方のprimerに用いていたために、クローンにした遺伝子は遺伝子の3′末端の配列と思われるもので、DNAデータベースによる検索で既知の遺伝子と相同性はなかった。
|