研究概要 |
目的 イネに対するネクロシス誘導を指標として,いもち病菌が分泌するポリペプチド(エリシター)を単離,精製し,その構造を明らかにするとともに,ネクロシス誘導の品種特異性について検討する.また,エリシター処理による防御遺伝子(PAL)の発現を転写レベルで解析する. 成果 1.ネクロシス誘導因子検索のためのアッセ-系の確立 培養細胞への添加,イネ葉身への加圧処理法によってネクロシス誘導活性を検出する方法が確立されたる. 2.ネクロシス誘導因子の部分精製 培養細胞への処理により過敏感細胞死,フェニルプロパノイド代謝関連酵素類の活性化,カルスの褐変化誘導因子をいもち病菌培養濾液中に検索した.各種クロマトグラフィーによる分離により分子サイズ30kDa前後のタンパク質であることが明らかにされた. 3.過敏感反応に関連する各種反応間の関連性 上記因子は過敏感反応に関連する各種反応の誘導能をもつことから,最も早期に誘導が認められる細胞死の過敏感反応に対する重要性が示された. 今後の課題 誘導因子の精製をさらに進め,アミノ酸配列を明らかにするとともに既知のタンパク質との相同性について検討する.
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