本学農場(札幌)で3品種、うち1品種を北海道立十勝農業試験場(芽室)で標準栽培し、開花前2回、開花後5〜6回の掘取り調査を行って、葉面積および器官別乾物重を測定するとともに窒素成分を分析した。今年度は生育期間中多雨低照下にあったが両場所とも生育は順調で、葉面積指数は4.5〜5.5に達し、子実収量はサカエショウズ(品種S)、エリモショウズ(同E)、アカネダイナゴン(同A)および芽室の品種Eでそれぞれ435、493、518、436kg/10aの高水準を記録した。また、遺伝子型間の変異を調査する約100品種も順調に生育した。 1.乾物生産および窒素の吸収と各器官への分配、子実への蓄積 (1)器官別乾物重(落下分を含む)の推移から、最終的な子実乾物重の約20%が茎葉からの再転流によると推定されたが、この値はダイズに比べて低く、アズキ子実の乾物蓄積は登熟期間中の光合成に直接依存する割合が高いといえる。(2)各器官の窒素%の推移を平均してみると、葉身では開花から20日間4〜5%を維持した後約2%まで減少し、葉柄および茎では4葉期頃に約3%を示すが生育が進むにつれて1%まで減少した。また、根では2.5%から1.5%に変化し、莢実では最終的に3.5%程度の値となった。(3)窒素%はどの器官でも主茎より分枝で高く推移した。(4)品種Eにおいて開花後20日間の葉身のN%は札幌よりも芽室で高い。(5)収穫時における子実のN%は平均約3.7%(タンパクに換算して23%)で品種間、場所間の差は小さかった。(6)落葉中の窒素などが分析未了であるため、全体的な解析は今後の予定。 2.タンパク含有率の遺伝子型間変異 2場所(札幌と芽室)の材料について、上記N分析が完了次第、粒大・種皮色を含めて測定の予定。
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