マメ科作物の根系構造と機能を解析するために、マメ科作物の根系が樹枝状であることに着目して樹形のパイプモデル理論を応用した根系構造モデル(ルートモデルと呼ぶ)を考案した。このルートモデルは根系の機能と密接に関係すると考えられる根径別の根量を簡便に把握するために根系を構成するすべての根を直径階級別に根体積(または表面積)で図示したものである。また、必要に応じて根粒分布を着生根の根径別に同モデル上に示し、窒素固定活性も合わせて検討することが可能である。本年度は、ルートモデルにより、ダイズの生育に伴う根系構造の変化とダイズの根系構造に及ぼす栽培環境等の影響を解析したほか、マメ科作物の根系構造の特徴をより明確にするために禾本科を含む数種作物との根系構造の比較解析を実施した。その結果、ダイズ根系が生育に伴って大型化するなかで、パイプモデルから外れる多量の細根部をもつことが明らかになり、根系上での根粒の着生状況を生育時期別に把握できた。また、肥培管理(窒素施用量・移植・培土・水耕)、土壌生物性(滅菌土・VA菌根菌・根粒菌)、土壌物理性(土壌硬度)および光条件(遮光)の各影響、ならびに根粒着生変異株を用いてダイズの生育をみたなかで根系構造の可塑性についての有益な検討が実施できた。さらに、根型が異なる各種作物のルートモデルを対比することによって、各作物の根系構造の特徴を明らかにし、これまで困難であった種間における統一的な根系構造の解析の可能性を示唆した。
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