ヤムイモ塊茎の肥大生長に関与する生理活性物質の活性を検出できる生物検定法「ミニ塊茎テスト」を確立した。新しく開発されたヤムイモの「ミニ塊茎テスト」を用いて、ヤムイモ塊茎にたいする既知の植物ホルモンの作用を検定した。植物ホルモンの促進作用及び抑制作用はもとより、それぞれの検液の濃度と活性の程度との関係も検出され、また、塊茎以外の組織に対してもそれぞれ物質の特異性が認められた。 ヤムイモのミニ塊茎テストと抽出物の溶媒分画、各種カラムクロマトグラフィを併用して、短日と長日条件下で処理されたダイジョに内生する生理活性物質の活性の比較を行ない、短日条件下の抽出物質で促進活性が長日下のそれよりも著しく強く、短日によって促進物質が活性化されることが明らかとなった。さらに、この塊茎肥大生長促進物質がジャスモン酸であることがガスクロマトグラフィで同定された。塊茎の肥大生長の停滞期から生長開始期にかけて内生ジャスモン酸の経時的な定量を行い、塊茎の肥大生長の転換期において内生ジャスモン酸が著しく増加することを明らかにし、ジャスモン酸がダイジョ塊茎の肥大生長に深く関与していることはほぼ間違いないと推定された。 植付け後2か月から4か月のダイジョにジベレリンを葉面散布した場合、ジベレリン濃度にかかわらず、主茎の伸長は全く促進されず、むしろ抑制される傾向が認められ、分枝の発生及び伸長が高濃度ほど大きく抑制された。 ダイジョの塊茎の肥大生長は第一義的に短日によって誘起されるが、高濃度のジベレリン施用によって肥大生長の停滞が打破され、長日条件下で肥大生長が誘起された。また、塊茎の休眠も強化され、休眠期間が大幅に延長され、ダイジョはジベレリンに大して特異的な反応を示す植物であることが明らかとなった。
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