研究概要 |
MEI-UP (RNA-Ag+トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、STS、硝酸銀脱,イオン水などの前処理液に含まれる銀の移動性、これらの前処理液が茎内の細菌数に及ぼす影響、切り戻しの長さが茎内の細菌数に及ぼす影響について試験した。その結果、MEI-UPのバラ品種'ロ-テロ-ゼ'に対する花持ち延長効果はAgによる切り口付近の殺菌効果によるもので、AgをRNA-AgにすることによりAgの茎内の移動性を高め、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを加えることでAgの安定性を高めており、そのため水分バランスを良好に保ちベントネックを抑制すると考えられる。STSのAgの移動性はすでに報告されているように著しく高いが、細菌の繁殖を抑えるには濃度が低すぎるためベントネック抑制効果がないと考えられる。RNA-Agの茎内の移動性は硝酸銀より高いものの十分ではなく、切り口付近に高濃度に分布しているため切り戻しをすると殺菌成分であるRNA-Agが除去され、殺菌効果がなくなり、花持ち延長、ベントネック抑制効果が低下すると考えられる。そこでAg濃度を高めてRNA-Agの移動性をさらに高めたところ20cmまでは切り戻しても効果があることを認めた。作用機構についてはほぼ明らかになったが、銀を全く含まない前処理剤の開発は極めて難しく、浸透移行性殺細菌剤の開発が急務であると感じる。現在すでに殺糸状菌剤は開発されているが、世界的に移行性のある殺細菌剤は開発されていない。植物病理・農薬研究者との共同研究が必要である。
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