ユリ‘カサブランカ'球茎に1日から105日の低温処理並びに植物ホルモン処理を行い球茎の休眠の推移と切り花品質について調査した。出蕾時期は低温処理80日以上で最も早くまた、品質も80日以上の区が最も優れていた。ホルモン処理を行った区ではGA3処理区で休眠打破効果が、またBA処理区で切り花の輪数増加の効果が認められ、これらの混用処理でも同様の傾向が認められた。 低温処理中の内生ホルモンと糖濃度の分析結果をみると、低温遭遇により、休眠がほぼ打破された処理60日前後にABAの減少とGAの上昇が確認された。また休眠打破時には糖濃度も急激に高まった。 以上のことから、ユリ‘カサブランカ'の休眠にはGAとABAの関連が深く、これらによって制御されていると思われる。一方、サイトカイニンはユリの花芽の文化・発達に深い関連を持つことを示していると思われた。さらにGA3を処理することで休眠打破に必要な低温の代償がある程度可能であることが示された。また低温処理を60日前後とし、GA3並びにBAを500ppm程度の高濃度で処理することにより、早期出荷と輪数増を主体とした品質向上が同時に可能である判断された。
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