研究概要 |
一般に茎の節部は腋芽や不定芽が出やすく、この性質を利用して宿根草の大量増殖を試みた。 従来の方法では基本培地や植物ホルモンの検討など多大の費用と労力がかかっていたが、今回試みた方法は簡便で短期間に苗が得られることがわかった。すなわち、茎頂を摘出後、MS基本培地に0,0.1,1ppmBA添加培地で培養し、2〜3週間後、苗条が伸長してきた時点で節を含む茎を水平に切り取る。茎が伸長しない植物では茎縦断法により2分割する。この操作は2〜3週間おきにくりかえせるので、1年間で百万本以上の苗条が得られる。培養温度は25℃、光は4000luxの条件がよく、オミナエシ、キキョウ、ストケシア、ホトトギス、ドイツアザミ、オウゴンヤグルマ草などの宿根花卉での増殖が可能となった。また発根には0,0.1,1ppmIBA添加MS培地が優れていたが、オウゴンヤグルマ草ではMSの代わりにハイポネックス培地がよく、他の種類とは異なっていた。発根に要する期間は3〜4週間で十分であり、幼植物体は試験管から取り出した後、2〜3週間の順化期間(20℃、4000lux)を経過後、温室の培養土に植え付け可能であった。活着率は70〜90%と高く、開花に到った種類(キキョウ、オミナエシ、ストケシア、ホトトギス、ドイツアザミ)も多かった。 以上のようにBA,IBAの3濃度検定ですべての宿根草が増殖最適濃度に入るため、多数の処理区を設けることなく効率よい苗生産が可能となった。
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