モモとリンゴ、マンゴ-樹を用いて以下の項目を検討した。 1.モモの着果程度の相違による葉内デンプン、ソルビトール含量を中心に検討した。特に、果実収穫前後の日変化に焦点をおいた。果実収穫前では夕方は朝より高かく、果実収穫後はゆるやかに増加した。ソルビトール含量もデンプンと同様な傾向を示したが、収穫直後は急激に増加した。モモ果実の成熟期にはシンクとして大きな作用をしており、葉内のデンプンとソルビトール含量が明かな日変化を示すことが明かとなった。 2.モモの実生樹を用いて、窒素施肥量の相違が樹体成長、デンプンとソルビトール含量ならびにRuBisCOタンパク質量の変動、葉緑体の微細構造に及ぼす影響などを調べ、これまでの結果を再確認した。特に、根の成長をはじめ、樹体各部の無機成分についても測定した。 3.リンゴの無着果樹を用いて、窒素施肥量の相違が葉の炭水化物含量に及ぼす影響を、とくにソルビトールの日変化から検討した。窒素施肥量が多くなると、ソルビトール含量は増加し、日変化が明らかにみられ、朝の含量は低く、夕方には増加した。 4.マンゴ-については、接ぎ木樹のア-ウインとその実生樹を用いて調査した。葉齢に伴う色素含量と葉肉の細胞構造の変化を検討するとともに、葉の光合成機能を把握するために、葉のRuBisCOタンパク質量の変化を電気泳動法により検討した。さらに、クロロフィル蛍光と酸素発生量を測定した。クロロフィル蛍光と酸素発生量は葉内クロロフィル含量と密接な関係がみられた。接ぎ木樹と実生樹で葉のデンプン蓄積に大きな相違がみられたが、両樹の葉の光合成活性には相違がみられなかった。
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