数種の果樹類を用いて、葉のデンプンを中心とした炭水化物含量を調査するとともに葉の生理機能との関係を検討した。 1.窒素施肥量の相違が葉内の炭水化物含量に及ぼす影響 モモ、リンゴ、キウイフルーツ葉のデンプンとソルビトールを中心とした炭水化物含量を調査した。さらに、デンプン蓄積量の相違によるRuBisCOタンパク質量の変動を抗体染色法から検討した。葉のデンプン含量は葉の窒素含量の増加とともに低下し、これと関連して、RuBisCOタンパク質量も増加した。葉緑体の微細構造に及ぼす影響についても、透過型電子顕微鏡によって観察した。 2.果実収穫前後における葉内の炭水化物含量に及ぼす影響 モモを用いて、一樹当たりの果実数を変動させて栽培し、葉の光合成速度、クロロフィル含量と炭水化物含量を調査した。果実数が多くなるにつれて、クロロフィル含量は多く、葉緑体のデンプン蓄積量は低下した。葉のソルビトール含量は果実成熟期では、着果数の多い葉ほど高かった。デンプン含量の日変化は夕方が朝より高く、果実収穫後はゆるやかに増加した。ソルビトール含量もデンプンと同様に変化し、収穫直後は急激に増加した。 3.マンゴ-については、葉齢に伴う色素含量と葉肉の細胞の微細構造を検討するとともに、葉の光合成機能を把握するために、葉のRuBisCOタンパク質量、さらに、クロロフィル蛍光と酸素発生量を測定した。クロロフィル蛍光と酸素発生量は葉内クロロフィル含量と密接な関係がみられた。
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