研究概要 |
土壌改良剤をペ-パークロマトグラフで展開し,その原点とRf1のフラクションおよびRf5のフラクションにおける抽出液をパッションフルーツに葉面散布したところ,原点およびRf1からの抽出液は新梢生長,開花,着果を促進させ,さらには果実重と果汁量を増加させた.一方,Rf5のフラクションは着果率を減少させた.この結果,本研究に用いた土壌改良剤中には高分子の構造を持ったキトサンが存在し,これがパッションフルーツの果実生長や新梢生長に関与していることが示唆された. しかし,同じ抽出液をイチジクとブドウに与えた場合には,どちらの抽出液も果実生長には影響を及ぼさなかったが,Rf5の抽出液は果実の糖度を高めた.さらに,カキにおいてはRf5の抽出液は果実の糖度と硬度を高めた.このRf5のフラクションにはやや分子量が低い含まれていると考えられた. これらの結果から,本研究に用いた土壌改良剤には果実生長を制御する物質が含まれていることが明らかになり,有効利用によって果実の品質向上や貯蔵性を高める可能性が示された.そのためには,本研究で得られた抽出液の化学構造や作用性についてさらに検討する必要がある.
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