研究課題/領域番号 |
07660046
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
東野 哲三 西九州大学, 家政学部, 教授 (80258631)
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研究分担者 |
池田 多佳子 西九州大学, 家政学部, 助手 (00289604)
藤田 修二 西九州大学, 佐賀大学・農学部, 教授 (90039339)
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キーワード | カンキツ生果皮抽出物 / キレート化剤溶液 / ペクチンエステラーゼ / 機能性ペクチンゲル / フィチン酸塩溶液 / クエン酸塩溶液 / 低メトキシルペクチン |
研究概要 |
1.キレート剤溶液によるカンキツ生果皮抽出物のゲルの強度とペクチン溶出量に及ぼす抽出液のpHおよび塩濃度の影響…(1)クエン酸塩及びフィチン酸塩抽出物はそれぞれ0.1M及び0.03M濃度のとき、またpH6及びpH8付近でゲル強度は最大値を示した。(2)抽出物中のペクチン溶出量はフィチン酸塩抽出では0.03MでpHが高いほど増大した。クエン酸塩抽出では0.1MでpH8付近で最大値を示した。 2.カンキツ生果皮より低メトキシル機能性ペクチンの調製…カンキツ生果皮から50℃で溶出したペクチンは低メトキシル含量、低エステル化度であったが、加熱処理した果皮からのペクチンはそれより高メトキシル含量であった。低メトキシルペクチンは生果皮アセトン粉末(AIS)調製時に果皮のペクチンエステラーゼ(PE)による脱メチル化反応によって生成したものと考えられる。 カンキツ酵素の抽出時間の検討…AISから比較的短時間(30℃、20分)の抽出により強いPE活性を有する粗酵素液が得られた。これをセルロース膜で透析したところ、酵素液(透析内液)のPE活性は低下したが、透析外液の添加により活性は回復した。外液には2価金属イオンが存在するものと考えられる。 4.市販ペクチン-酵素反応系によるゲル化機構、粘度法によるPE活性測定操作の設定…ゲル化にはCaなどの二価イオンが必要であり、Caイオンを含む反応液の粘度は時間の経過につれて増大し、反応液のpHが8のとき最大比粘度を示した。キレート剤(フィチン酸やクエン酸)は反応系の粘度上昇を抑制した。したがって、キレート剤は生果皮のプロトペクチンの可溶化には必要であるが、ゲル化には有害である。可溶化したペクチンはPEにより脱メチル化されてペクチン酸を生じ、これとCaなど二価イオンと架橋結合することにより高分子化し、さらに低温下では再配列を起して、立体構造を形成するものと推察した。
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