1.カイコを用いて尿酸が酸化ストレスに対する防御に必要であることを明らかにした。キサンチンデヒドロゲナーゼの阻害剤であるアロプリノールを飼料中に添加すると尿酸の含有量を著しく低下させることができた。このカイコを用いて2種類の酸化ストレスに対する耐性を調べた。まず紫外線照射下における平均寿命を観察したところ、アロプリノールを与えたカイコは有意に寿命が短くなっていた。また、可視光線照射下で活性酸素を生成する色素ローズベンガルを与えたところ、やはりアロプリノールを与えたカイコでは平均寿命が有為に短縮された。このことにより、カイコにおいて尿酸は活性酸素ストレスから生体を守る役割を担っていると推測された。 2.虫体より抽出した脂質画分に、化学発光の阻害物質が含まれていることが判明し、これを効率よく除く手法を検討した。その結果、Sep-pak NH_2による固相抽出法が前処理として最も優れていた。これにより、虫体の過酸化脂質の高速液体クロマトグラフ-化学発光検出器(CL-HPLC)システムによる微量定量法が確立した。 3.タマネギバエ幼虫の飼料にエリスロシンBを添加し、可視光を照射して酸化ストレスを与えた。この幼虫から脂質を抽出し、上記の方法により阻害物質を除いた後、CL-HPLCにて過酸化脂質の検出を試みた。酸化ストレスを与えた幼虫には、対照(エリスロシン無投与)の幼虫よりも有意に多量の過酸化脂質が含まれていることが明かとなった。
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