研究概要 |
X線結晶解析による立体構造解析は良質の結晶とその重金属置換体の取得がキイ・ポイントとなっている。Bacillus circulans MH-K1キトサナーゼ蛋白については斜方晶系の直方体結晶が硫安を沈澱剤として取られ、その空間群(P2_12_12)やユニットセル・パラメーター(a=57.7,b=43.3,c=128.0A)も決められている。この結晶に対して現在迄約50種におよぶ重金属を試みた結果、確実に入っていると思われる白金の置換体を中心にネイテイブ結晶と比較して電子密度図の精密化を行なっている。 一方MH-KIキトサナーゼの触媒アミノ酸として可能性の高い37番目のGlu、55番目のAsp、56番目のGlu、73番目のAspをそれぞれSerに部位特異性変異により変換した変換体遺伝子を作り、これを高発現系であるBacillus brevis 47-5Qに導入し、発現させるが出来た。それぞれの変異体を精製して酵素活性を測定したところ前者の3アミノ酸はいずれも活性に深く関与している事が示唆された。73番目の変異体は生産されなかった。この変異キトサナーゼを現在精製中で、これを用いて結晶を取るのが楽しみです。 放線菌Nocardioides sp.K-01株のキトサナーゼの生化学的特性が決められ、その一次構造が決定/推定された。現在この遺伝子のクローニングを行なっている。またこの酵素蛋白質の結晶化条件の検討が行なわれつつある。現在までに緩衝液に0.1Mトリス・塩酸pH7.2で沈澱剤に14%ポリエチレングリコール6,000,0.2M CaCl_2存在下で針状の結晶が得られた。この条件を改善して結晶解析に耐えられる結晶を得たい。 さらに新たにキトサナーゼ生産菌A-01株が取られ、その酵素の生化学的特性が明らかにされている。A-01株の酵素は他のキトサナーゼに較べ安定性が高く、立体構造を他の酵素と比較検討することによりその特性の構造的基礎を明らかにしたい。
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