研究概要 |
1 野性型キトサナーゼ立体構造の解明 硫安存在下で得られた結晶を用いて種々の重金属に浸漬して重金属置換体を検索した結果、0.5mMK_2PtCl_4に24時間浸漬したものが良好な回折図を得た。この重金属置換体を用いてMAD法によりデータを取得した。これを用いて解析したところ、最大で3.0Aの解像度で電子密度地図が得られた。現在α-helix部位の特定が行なわれ、β-sheetの検索途中である。今後これにnativeな結晶データを重ねてさらに精密化して酵素分子の立体構造と構築する予定である。 2 部位特異性変異による変異キトサナーゼの生産と触媒アミノ酸の特定 本キトサナーゼと一部の一次構造相同性を示すリゾチームの触媒アミノ酸を参考にして、変異アミノ酸を決定して部位特異性変異を行ない、得られた変異体酵素の活性を測定した。変異を行なった部位は以下の通り:L21V,D22S,E37S,D40N,E51Q,D52E,D52N,D55N,D55S & E56S。その結果E37S,D55N,D55S & E56Sの変異体酵素が活性を失ったことから同酵素の触媒アミノ酸はリゾチームと同様にE37とD55である可能性が高い事が示された。またD52Eでは活性の94%が保持されているがD52Nでは61%であったので、このAspは触媒アミノ酸ではないものの酵素機能に重要な役割を持っていると考えられる。
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