1)ジャガイモYウイルス(PVY)のNIaプロテアーゼに対する阻害活性物質のスクリーニング大腸菌の生死を指標とするスクリーニング系を用い、約2000株の土壌分離微生物の培養上清をアッセイした結果、形態的に5種類に分類できる12株のグラム陽性桿菌に阻害活性が認められた。最も強い阻害活性を示した菌(R27株)は、鹿児島湾の水深約150mの海底土壌から分離された菌で、Bacillus属細菌と考えられる菌であった。 2)NIaプロテアーゼ阻害物質の単離と構造解析 上記12株の生産する阻害物質の各種クロマト担体に対する吸着性は、大きく3種類に分かれた。特にR27の生産する物質は、陽イオン交換樹脂に吸着し、各種有機溶媒にほとんど溶解しないという特徴を示した。そこでさらにセルロースTLC等を組み合わせて本物質を単離し、NMRとMSにより構造を解析し結果、3-amino-3-deoxyglucose(3AG)であった。 3)3AGのPVYの増殖に対する抑制効果 タバコ(Nicotiana tabacum cv.Samsun NN)にPVYを接種して発病させ、そこに3AGを噴霧したところ、病徴の大幅な軽減が認められた。またそのタバコに蓄積されているPVYの量は、3AG無噴霧の場合のものと比較して60分の1以下に減少していた。このことより、3AGはPVY増殖抑制活性を持つと結論できる。
|