ヒトリンパ球におけるNAD含料とDNA修復に及ぼすナイアシンの影響について検討した。種々の濃度のニコチン酸またはニコチンアミドを添加した培地とともにリンパ球をインキュベートした。5μMのニコチン酸または10mMのニコチンアミドとリンパ球をインキュベートすることによって、リンパ球中のNAD含料は、2〜3倍に上昇した。このようなNADレベルを上昇させた条件下で、リンパ球をN-メチル-N′-ニトローN-ニトロソグアニジン処理し、DNA修復に及ぼすナイアシンの影響を調べた。その結果、興味深いことに、損傷DNAの修復は、ニコチン酸によって促進されたが、ニコチンアミドによって阻害された。ニコチン酸によって細胞内NADレベルを上昇させた後にMNNG処理をした場合には、劇的なNADの分解が見られたが、ニコチンアミドの場合には、そのようにならなかった。以上のような結果は、DNA修復に対するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの関与を示唆するものである。
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