1.イエバエ前蛹から単離・精製したラテントフェノールオキシダーゼの3種の構成成分(プロフェノールオキシダーゼ、イナ-トアクチベータ-、ファクターN)の中、プロフェノールオキシダーゼの一次構造解析が最も進展しているが、そのN-末端アミノ酸がブロックされていたため、まず、N-末端以外のフラグメントの一次構造解析を中心に行い、現在、N-末端ペプチドフラグメントの一次構造解析をESI-質量分析機との併用で行っているところである。 2.本研究過程において、イエバエ中にイナ-トアクチベータ-の活性化因子の存在を見い出したので、その精製を現在行っている。また、成熟蛹から精製したアクチベータ-(活性型活性化因子)によるラテントフェノールオキシダーゼの活性化の際、イナ-トアクチベータ-の活性化因子を共存させるとそのラテントフェノールオキシダーゼの活性化が2倍程促進されることを見い出した。したがって、成熟蛹に存在する活性型活性化因子とイナ-トアクチベータ-が活性化して生じた活性化因子のラテントフェノールオキシダーゼへの作用機構は異なることが推察された。 3.当該研究室で、初めて単離・精製されたフェノールオキシダーゼインヒビターの全一次構造に関しては、本研究課題開始前に決定していたが、38個のアミノ酸残基からなる3つのジスルフィド結合を含むペプチドであり、現在、そのジスルフィド結合の位置を決定し終えたところである。興味あることに、このフェノールオキシダーゼインヒビターの2個のチロシン残基の中、1個のみがドーパに水酸化されているが、その水酸化の機構に関してもある程度の知見を得ることができた。また現在、このフェノールオキシダーゼインヒビターの活性フラグメントと考えられる数種のペプチドを化学合成してそのフェノールオキシダーゼ阻害活性を調べているところである。
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