研究概要 |
1.Fusidium sp.BX-1によるグリセロール培地における酵素の多量分泌に関連して,幾つかの因子を新たに見いだした。特に窒素源として添加した酵母エキス中のアミノ酸類の中に酵素の産生に影響するものがあることを明らかにした. 2.α-アミラーゼ,グルコアミラーゼのアミノ酸素組成,また,両酵素のN-末端アミノ酸配列を分析した.本菌の酵素のアミノ酸組成には前者にイソロイシンが存在せず高ヒスチジンであること,後者が高プロリンであること等を特徴を見いだした.両者のいずれも約50のN-末端配列は,細菌由来の酵素には極めてホモロジーが低く,Aspergillus等の菌類に由来する酵素に対して50%以上のホモロジーを示すことを明らかにした. 3.本菌によるキシラン分解に関連して,キシラナーゼとβ-キシロシダーゼとの間でそれらの生産量比が培養条件によって著しく変わることを見いだした.β-キシロシダーゼの生産量が増大した培養液より,これを電気泳動的に均一なまでに精製した.本酵素は極めて安定であるばかりか,高濃度のエタノールによって活性が賦活かされ、アルコール類の存在下でキシロオリゴ糖に作用させた場合,アルキルキシロドを生成することを明らかにした. 4.細胞を酵母状から糸状へ形態変化させる炭素源の一つイノシトールの代謝に関連して,その初期代謝酵素としてイノシトール→グルクロン酸の反応を触媒するイノシトールオキシダーゼの存在を細胞抽出液中に検出した.本菌はグルクロン酸を炭素源とする培地では酵母状の形態で増殖することを明らかにした.
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