1.Fusidium sp.BX-1の細胞は、細胞膜の主要成分であるグリセロール、オレイン酸、イノシトールをそれぞれ炭素源とした培地において、酵母状、太い短菌糸状、菌糸状を呈したが、窒素源はこれらの炭素源に優先して細胞の形態を支配し、数種のアミノ酸により細胞は伸長し、硝酸塩により酵母状となることを見いだした。他の栄養因子に関して検討した結果も含めて、BX-1株の細胞形態に変化を起こす因子は、すでに詳細な検討が加えられているCandida属酵母での結果とおおむね反対に作用することを明らかにした。 2.本菌は各種の炭素源において細胞内に著しい脂質顆粒やミトコンドリアを形成すること等を明らかにした。また、電子顕微鏡により、一部の炭素源で培養した細胞マイクロボディー様構造を見いだした。 3.本菌の産生するα-アミラーゼ(α-AMY)とグルコアミラーゼ(G-AMY)の精製標品を用いてウサギ抗血清の調製した。α-AMYでは速やかに抗体価が上昇したが、G-AMYでは初期には抗原抗体反応がほとんど認められず、その抗体価はα-AMYの8分の1程度までしか上昇しなかった。α-AMYとG-AMYの抗血清からそれぞれの抗体(IgG)をDEAE-celluloseカラムを用いて精製した。得られた抗体の免疫化学的性質をオクタロニ-分析およびイムノブロット分析により調べた結果、α-AMY抗体はα-AMYとのみ反応したが、G-AMY抗体はG-AMYだけでなくα-AMYとも反応した。各種のFITC標識-レクチンとの反応の結果、BX-1株のアミラーゼは高マンノース型糖鎖を持たないと推定された。 4.活発にアミラーゼを産生している培養から得たBX-1株の細胞より、RNA抽出し、mRNAを分離した。
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