研究概要 |
1.Fusidium sp.BX-1の細胞形態と微細構造について、各種の炭素源で培養した細胞を用いて調た。BX-1株はグリセロール、グルコース、デンプン等を炭素源とした培地で酵母状を呈した。イノシトール培地において、本菌は大きなピ-ナツ型の細胞から太い短菌糸状の細胞に変化した。オレイン酸、オリーブオイル培地において本菌は菌糸状を呈した。本菌は各種の炭素源において細胞内に著しい脂質顆粒やミトコンドリアを形成すること等を明らかにした。 2.本菌によるキシラン分解に関連して、キシラナーゼとβ-キシロシダーゼとの間でそれらの生産量比が培養条件によって著しく変わることを見いだし、β-キシロシダーゼの生産量が増大した培養液より、これを電気泳動的に均一なまでに精製し、その酵素化学的性質を明らかにした。本酵素の分子量は120,000と推定された。本酵素の活性の至適温度は65℃、至適pHは3〜4であった。本酵素の活性は、酵素を50〜60%のエタノールとインキュベートすることによって、1.5〜1.8倍に上昇した。 3.BX-1株のα-アミラーゼ(α-AMY)、グルコアミラーゼ(G-AMY)のN-末端アミノ酸配列を分析した。両酵素のN-末端配列は、AspergillusやSaccharomyces等の菌類に由来する酵素に対して60〜70%以上のホモロジーを示すことを明らかにした。BX-1株の産生するα-AMYとG-AMYの精製標品を用いてウサギ抗血清の調整した。α-AMYでは速やかに抗対価が上昇したが、G-AMYでは初期には抗原抗体反応がほとんど認められず、その抗体価はα-AMYの8分の1程度までしか上昇しなかった。α-AMYとG-AMYの抗血清からそれぞれの抗体を精製した。活発にアミラーゼを産生している培養から得たBX-1株の細胞より、RNAを抽出し、mRNAを分離した。
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